【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


『うん。へんじゃない。とっても、すてきー。ゆーかは、どんなかみのけでも、すてきなのー』


ハイトーンの、可愛らしい声が、間髪入れずに返ってくる。


その姿は、ケルベロスのときとは打って変わった、丸いフォルムの、白い綿毛のような愛らしい小型犬のものだ。


声を掛けると、はちきれんばかりに振られる、小ぶりの尻尾。


柔らかな体毛と、少し高めの体温。


そして、この舌ったらずの、可愛らしいハイトーンの声。


『ケルベロス』のときは、普通に、大人と話している感じだが、『ポチ』のときは、どうも精神年齢が、四、五歳くらいに退行するみたいだ。


どちらの姿を取っていても、優花に対する全幅の信頼、


それは、揺らぎない。


こうも、全身全霊で、大好きオーラを出されると、もうダメだった。


もともと、動物好きもあいまって、もう、すっかりこの風変わりのワンちゃんに、めろめろだ。