【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


こんな状況で、眠れるわけがない。


優花は、ごそごそと、逃げ出すようにベッドを抜けだした。


コテージ風の、見覚えのない部屋の中をぐるりと見渡し、とてとてと、寝起きのおぼつかない足取りで、トイレと洗面所を求めて、歩き出す。


昨日、避難シェルターに付いて、黒田マリアもどきに会って。


それから、どうしたんだっけ?


のろのろと、昨日の記憶を辿りながら、


まずトイレを済ませ、次に顔を洗うべく、洗面所の扉をカチャリと開く。


「ふわぁ……。それにしても、ここ、どこなんろう?」


遠くで、波の音が聞こえるから、海の近くなのかな?


と、鏡の前で、ふと上げた視線が、釘付けになる。


変だ。


なんか、ものすごく変だ。


違和感、走りまくりだ。


その原因は、言わずもがなの、銀色の髪。


「何、コレーーーー!?」