【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~



「え? ポチ? 元のサイズって……?」


晃一郎の言っていることが、理解できない。


ポチってだれ?


この、大きな羽根付きワンちゃん?


ってか、この状況の、説明はなしですか?


顔に疑問符を大量に貼り付けていた優花は、


背後から、絡みつくように伸びてきた腕に抱え込まれて、瞬間冷凍された秋刀魚のごとく、全身ピキリと、固まった。


「ふえっ?」


ちょっ、ちょっと、晃ちゃん!


「まだ早い。……から、お前も寝ろ……」


抑揚のないつぶやきは、そのままスヤスヤと安らかな寝息に変わる。


その寝息が首筋にかかって、ものすごく、こそばゆい。


――寝ろって言われても、


この状態で、どう寝ろと?