リュウたちが、各々の技量を凝らして、公安の担当官と対峙していたその頃。
晃一郎と優花は、ちょうど、長い螺旋階段を降り切っていた。
円筒状にくり貫かれた最低部。
そこは、がらんとしたドーム状の空洞になっていて、階段を降りた正面の壁にはナンバリングされた大きな鉄製の扉がいくつも並んでいた。
その異様さに、思わず優花の足が止まる。
――ここが、避難シェルターなんだ……。
この扉が開けられる事態をチラリと想像して、優花はすぐにその想像を打ち消した。
縁起でもない。
こんなものは、使われないことに越したことはないのだ。
「優花、こっちだ」
「あ、うん!」
少し離れた所から、晃一郎の声かかり、その距離感が急に心細くなってしまった優花は、慌てて声のした方へ足を踏み出す。
こんな、奈落の底みたいな人気のない場所ではぐれたら、きっと、一生のトラウマものだ。
一歩二歩、三歩。
小走りに足を進め、上げた視線の先に、居るはずの晃一郎の姿がなかった。
「え……?」
ドキン、と、
優花の鼓動が、嫌な音を立てて、大きく跳ね上がる。



