外への逃走ルートの選択肢は、三つしかない。


優花たちもリュウのところへ行く際に使った、研究所職員用・メインの中央エレベーター。


査察が入るとしたら、ここからのはずだ。


もう一つは、研究所の北口にある、資材搬入用エレベーター。


ここも、抑えられる可能性は大きい。


そして、三つ目。


最後が、有事の際の緊急避難用・地下シェルターへの連絡通路。


この通路は、地下水路に通じていて、その水路を辿れば、外に出られる。


ここの存在は、研究所の所長である鈴木博士以下、格フロアの責任者しか知らされていない。


もちろん、優花は知らなかった。


リュウの予想通り、優花のことを公安に密告したのが、エレベーターで会った黒田マリアだとしたら、その情報源は優花の記憶に限られる。


外部に知られていないこのルートならば、捕まる危険性は一番低い。


安全策を取った、晃一郎は、優花と二人、このルートで進んでいた。