【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


一年前の、恋人の死から、晃一郎は変わった。


強力な超能力を持ちながら、なす術もなく、目の前で彼女を死なせてしまったことへの悔恨の念。


医師として、その命を救うことができなかったことへの、自責の念。


生活態度や素行が荒れるということがなかった分、その負のエネルギーは、内に篭ってしまったのだろう。


もともとの気質である陽気さは、なりを潜め、


まるで、自分を追い込むように仕事に没頭することで、己を保っている。


そんな姿を見ても、自分にはどうすることもできなかった。


ESPカウンセラーなどという、たいそうな肩書きは、何の役にも立たないのだと、痛感させられた。


所詮、人は、神にはなれない。


人は、人を救うことなど、できはしない。


そんな、諦めにもにた日常の中、


あの子が、イレギュラーの優花が現れた。