検査が終わり、結果が心配でたまらないという面持ちで、自分を見上げていた優花。
彼女には、約束は守ると言ったが、これは。
「さて、どうしたものか」
ポツリと落とされた、低い呟きが、しんと静まり返った部屋の中に溶けていく。
イレギュラーである優花の、非合法な保護に手を貸すことを決めたときから今も、純粋にあの子を助けたい、という気持ちには変わりはない。
今は亡き、かの女性のイレギュラーというだけではなく、優花本人を、リュウはとても気に入っていた。
まっさらで、純粋な、温かい魂の色。
あの色を、濁らせるようなことは、したくないと思った。
『優花の存在を隠し、彼女を元いた世界に戻す』
イコール、国に対する背信行為だが、その辺の罪悪感を、リュウは持っていない。
必要なら、誰を欺こうが嘘をつこうが、平気だし、
それを、気に病むような殊勝なメンタリティーは、あいにく持ち合わせていない。
嘘をつく相手が、たとえ親友の晃一郎でも、それは同じだ。
だが――。
さすがに、この情報を、晃一郎に隠しておいていいものか、迷っていた。



