つまり、優花の記憶を最初に見るのは、リュウ一人。
ことここに及んでしまえば、『誰にも知らせないで』というもう一人の優花との約束は破ってしまうことになるが、背に腹は変えられない。
優花は、よし! と、自分に気合いを入れて、心理リサーチの準備をするリュウに向かって、『一世一代のお願い』をするべく、口を開いた。
「あの、リュウ先生っ」
「うん、なんだい?」
準備の手を止めて、リュウは、優花の方へ身体を向ける。
穏やかな笑みを浮かべたまま、かすかに首をかしげるリュウの瞳をじっと見つめて、優花は、言葉を続けた。
「お願いがあるんですけど……」
「ボクにできることなら、なんなりと。遠慮しないで、どうぞ、言ってみて?」
「その、この検査の結果なんですけど」
「うん」
ゴクリ――と、
不安と焦りを音を立てて飲み下し、優花は自分を鼓舞して、核心を言葉に乗せる。
「誰にも言わないで欲しいです!」



