【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


「随員その二の、村瀬でーす。久しぶりに、大天使様のご尊顔を拝しに参りました」


ヤッホーと、右手を上げて、自己アピールをする玲子に、リュウは、ニコニコと笑みを深める。


「お久しぶりです、玲子さん。あなたなら、いつでも、大歓迎ですよ」


「俺に対する態度とは、エライ違いなんだが?」


「それは、むさ苦しい野郎と、麗しの美女では態度が変わるのは、自明の理というものですよ、御堂先生」


笑みをたやさないまま、リュウは、かなり辛辣なことを、サラリと言ってのける。


一方、晃一郎は、隣でほくそ笑む玲子に、チラリと冷たい視線を投げつけて、わざとらしく眉根を寄せた。


「だれが、麗しの美女だよ。『こうるさい』の間違い――って、人の足を踏むな、村瀬っ!」


白いスニーカーに包まれた晃一郎の足を、ヒールの踵でぐりぐりと踏みつけて、玲子は、ニッコリと笑みを浮かべる。


「あら、ありがとう。タキモトくん」


「どういたしまして」


ニッと、笑いあう笑顔は、どちらもまるで少年少女のように無邪気で、楽しそう、ではある。


が――、


正直、優花は、それどころじゃない。


友人同士の心温まる交流を蚊帳の外に、優花は、一人、途方にくれた面持ちで思案に沈んでいた。