【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


エレベーターが完全に閉まり、降りていくのを確認してから、晃一郎は優花に尋ねた。


「何をしてたんだ?」


「あ、うん。『よろしくね」って、握手されただけ――」


「握手したのか、お前!?」


「う、うん」


優花の言葉をひったくるように言う、晃一郎の語気の強さに、びくっと身をすくませる。


――な、なに?


たかが、握手しただけで、なんで、そんなに驚いてるの?


確かに、変な感じはしたけど……。


苛立ったように、自分の前髪をわしゃわしゃと、かき回した後、


「無闇に、他人に身体を触らせるなよ」


晃一郎は、ため息交じりの声で言う。


なんだか、自分から触ってもらいに行ったような晃一郎の口ぶりが、優花は、かちんと癇に障った。


「え、だって、触らせるなって、手を差し出されたから、握手しただけだよ?」


「握手でも、ハグでも、何でもいっしょだ。触ることで心を読む能力もあるんだからな」


「あっ……!」


そうか。


そういうこともあるんだ……。


まってよ?


ということは、不用意に、晃ちゃんに触ると、全部バレる可能性があるってこと?


き、気をつけよう。