【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


チン、


と、甲高いベル音が、目的階への到着を告げた。


黒田女史は、名残り惜しそうに、晃一郎を見つめる。


「それじゃ、また、御堂先生。今度、お食事にでも誘ってくださいね」


「はい、ぜひ、相伴させてください。それじゃ、また」


鉄壁の年上キラーな笑顔を残し、先頭を切って、晃一郎がエレベーターを後にする。


「それじゃあ、またー」


営業スマイル全開で、ペコリと会釈をして玲子が続く。


優花も、幾分引きつり気味ではあるが、どうにか笑顔で会釈をし、玲子の背を追うように、一歩足を踏み出した。


そのとき、


不意に、脇から、白衣に包まれた細い腕が伸びてきた。


まるで、通せんぼをするみたいに。


――え?


優花は、ぎょっと身をすくませて、その手の主、


黒田マリアを、仰ぎ見た。