【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


他の階への移動のため、


身バレ予防策で、晃一郎の白衣と玲子のメガネ、プラス髪型をアップにして変装させられた優花は、


エレベーターの扉の前で、降りてくるエレベーターのランプを睨みつけながら、焦りまくっていた。


リュウの、心理リサーチを受けないですむ方法を、ぐるぐると考えてみるが、


行く目的そのものを回避する妙案など、とっちらかった脳細胞では思いつくはずもなく。


チン、


と、無常にも、エレベータは優花の前で扉を開く。


がっくりと肩を落として上げた視線が、エレベーターの中に居た人物とばっちりかち合い、


思わず一歩足を踏み出したまま、優花はその場に固まった。


先客は、女性だ。


白衣にメガネに髪型アップ。


アイテムは優花と同じでも、身につける人物によって、こうも印象が変わるのかという、見本のようだ。


おそらく、三センチヒールを割り引いても、ゆうに百七十センチはあるだろう、すらりとした体躯。


でも、出るところは出てます、な、ナイスなボディプロポーション。


理知的な光を宿す、二重の切れ長の瞳の色は、クール・ブルー。


ゆったりと、後頭部の中ほどでまとめられた、ややくせのある髪は、鮮やかな栗色だ。