【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


チラリと、


玲子と、意味ありげに目配せしあった後、


思案気な眼差を優花に向けて、晃一郎は、独り言のような呟きを落とした。


「本格的な覚醒期に、入ったのか? にしては、髪色の変化は見られないが――」


優花の苦しい言い訳に、怒るでもなく、呆れるでもなく、あくまで冷静に向けられるその眼差しは、リハビリ指導をするときと同じに、医者の顔をしている。


「優花、お前、何か体調の変化はないか?」


「え……? 別に、ない……と、思うけど?」


どうして自分の体調についての話になるのか分からない優花は、一抹の不安を覚えた。


――もしかして、私、


なんか、まずいこと言っちゃったのかな?


普段、嘘をつきなれない優花は、内心、ドキドキものだ。


深く突っ込まれたら、その嘘を突き通す自信なんかない。