【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


ピンポーン、ピンポーン!


遠くで鳴り響く甲高いチャイム音に、深い眠りの底に沈んでいた晃一郎の意識は、一気に浮上した。


ひどく、懐かしい声を聞いていた気がするが、よく思い出せない。


「う……ん?」


晃一郎は、全身を包む倦怠感に低く呻いて、身じろぎをした。


眉根に深くしわを刻みながら薄く目を開けた、次の瞬間、ぎくりと身をこわばらせる。


もちろん、優花の身体の上で、だ。


「あ……れ?」


「晃ちゃん、重いんだけど?」


低い声で口を尖らせる優花に睨まれ、晃一郎は、がばっと上半身を跳ね起こす。


「なっ、なんだこれ!?」


「なんだこれって言われても、見ての通りとしか」


先刻の『彼女』との会話の余波で、優花の目は涙で潤んでいるし、頬には、大量に流れたことを物語る、いく筋もの涙の跡が、まだ生乾きだ。


そして、この体勢。


誰が、どうみても、


いたいけな十五歳を襲うセクハラドクターの図にしか見えない。