「それにしても、突然だったなぁ……」
「本当に、他人事じゃないですよねぇ」
お茶をすすりながら、しきりに気の毒がる優花の祖父母に、晃一郎は少し困ったように口の端を上げた。
亡くなった晃一郎の祖父は八十五歳で、今まで病気らしい病気もせずに、昨日まで元気に農作業をしていて、苦しむこともなく眠るように息を引き取ったのだそうだけど、
だからと言って、身内を亡くした悲しみが軽くなるはずはない。
こんな風に人の死に接するとき、優花の胸の奥に穿たれた塞ぎきらない見えない傷跡に、ズクリと鋭い痛みが走る。
三年前、
中三の夏休みに、優花は、父と母を交通事故で同時に無くした。
両親と優花、
家族三人で父の運転する車で外食に出かけたその帰り、優花たちの車は大きな玉突き事故に巻き込まれたのだ。
父と母はほとんど即死状態で、
皮肉なことに、外食をせがんだ優花けが、奇跡的にかすり傷で生き残った――。



