【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


ピンポーン、ピンポーン!


ほんの短い、だが、とても濃密な、邂逅の時。


それに終止符を打ったのは、突然あがった来客を知らせるチャイムの音だった。


『あらら。タイムオーバー。あまり長居をすると、この人の負担にもなっちゃうから、このくらいで、おいとまするね』


彼女の姿が、ふうっと遠ざかる。


「あ、あの、また会えますよねっ!?」


優花は、思わず叫んだ。


これっきりなんて、いやだ。


もっと、聞きたいことや話したいことが、たくさんあるのに。


『ええ、たぶん』


淡い微笑をその顔に刻み、


甘く、優しい、花の香りだけを残して、彼女の姿は跡形もなく消えてしまった。


とたんに、優花を襲う喪失感。


ほんのつかの間の出会いで、こんなにも別れがたくなるなんて。


確かに、あの人は、自分の本体なのだ。


誰よりも、限りなく近い存在。


一人っ子の優花には分からないが、


たぶん、姉妹がいたら、きっとこんな感じなのだろうと思った。