【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


『私は、一年前に死んだ人間なの。そして、一年前に選んだの。今、ここの在ることを』


その最後の瞬間まで、晃一郎と共に在ることではなく、優花を救うことを、選んだのだと、


それを、後悔なんてしてない、と、彼女は言った。


柔らかな声音に、穏やかな笑みに、


優花は、この女性の、鋼のような芯の強さを見た気がした。


『それにね、物理的に、私はこの人と会えないのよ』


クスクスと、木漏れ日のような笑みをこぼしながら、彼女は悪戯っ子みたいな目をして、とんでもないことを暴露した。


『実は、私が出てくるために、この人の生態エネルギーを、ちょっとばかり拝借しちゃってるの。ついでに言うと、潜在意識の隅っこに居候させていただいてます』


「は?」


――なんか、何げに、


今、ものすごいこと聞いた気がする。


『だからね、私が出てくるとエネルギーが吸い取られて、ごらんの通り、この人、爆睡モードに突入しちゃうというわけ』


「その、それってつまり……」


『そう。分かりやすく言うと、私、この人に、とり憑いてます♪ みたいなかんじかな?』