【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


玲子から聞いたこの女性の末期は、壮絶なものだった。


どんなに苦しかっただろうかと、


どんなに、悲しかっただろうかと、


その事実を知ったとき、優花は言葉もなく、ただ戦慄した。


戦慄するのみだった。


それは、彼女が、直接かかわりのない、遠い存在だったからだ。


しかし、こうして彼女という人間に触れてしまったら、もうだめだ。


その目を見れば、どんな心根の人か分かってしまう。


言葉を交わせば、親近感がわく。


その人となりを知れば、他人事ではいられなくなってしまう。


――言わなきゃ。


今、言わなかったら、ぜったい後悔する。


優花は、震える言葉をしぼりだした。