【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


――信じられない。


「だって、ESPカードが全部外れるだけの、厄介ではた迷惑な力しかないのに?」


『大丈夫よ。力の覚醒し始めは、だれもそんなものだから。でも――』


不意に、


ゆらりと、


彼女の姿が、蜃気楼のように揺らいで、声が途切れてしまった。


――え? うそっ。


「優花さん!?」


そのまま、消えてしまいそうな不安に駆られて、優花は思わず彼女の名を叫んだ。


その声に反応するように、彼女の姿が鮮明になる。


『う~~ん。やっぱり、もうエネルギー不足かしらね』


まるで、それが些細なことのように、彼女は微笑みさえ浮かべて薄い肩をすくめる。


精神体である彼女のエネルギーが切れるとき、


それは、すべての消滅。


すなわち、


本当の『死』を意味するのに。