【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


『優花をこの世界に呼び寄せたのは、この世界の優花』、だった。


一年前、


死に瀕したとき、この世界の優花に、新しく覚醒した超能力。


それが、未来予知ともう一つ、


空間のみならず、時を越えることのできる力だった。


一年後の、


優花たち家族の見舞われた惨劇の瞬間を垣間見た彼女は、避けられない自分の死を悟って、瞬時に決断した。


残りわずかなその命と、新しく目覚めた、力。


そのすべてを、もう一人の優花のために使うことを――。


彼女は、精神エネルギーのみを未来に飛ばし、事故に巻き込まれた優花を、この世界に引き寄せた。


そうしなければ、確実に、優花は命を落としていたからだ。


この世界の医療技術ならば、優花を助けられる。


恋人の、晃一郎なら、なんとかしてくれる。


そういう、希望もあった。


だが、それによって、彼女の残された力は、そのほとんどを使いきってしまった。


こうして、限りなく近い存在である優花の前に出てくるのさえ、ままならないほどに。