【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


――え、温かい?


幽霊なのに、温かい?


額にそっと添えられた指先から与えられる温もりに、優花は混乱していた。


なんで、幽霊に体温なんかあるんだろう?


素朴な疑問には、すぐに答えがあった。


『今はね、まだ思念エネルギーが残っているから、こうして会話もできるし姿も保っていられるけど、やっぱり長くは無理なの。だから、端的に説明するわね』


「え……?」


頭に直接流れ込んでくるのは、耳に聞こえる音声ではなく、心の声。


以前、事故の直後に聞いた、晃一郎の声と同質のもの、


テレパシーだ。


『まず一つ目。あなたをこの世界に呼び寄せたのは、私なの』


思わぬ告白で浮かんだ疑問に、優花は恐怖心も忘れて思わず質問を返した。


「だって、あなたは、一年前に……」


さすがに、本人を前に『死んでいるのでは?』とは言えず、語尾が腰砕けに消えていく。


『そう。その一年前、自分が死に瀕したとき、私には見えたの。一年後のあなたが事故にあう、その光景が――』