「晃ちゃん、起きて、起きてってば、起きろ、こらぁっ!」
くたりと自分に体重を預けて、幽霊が言うには『熟睡している』という晃一郎の身体に、自分の身体全体を使って、ガンガンと揺さぶりをかける。
重いし、痛いし、息ぐるしい。
ぶつけている自分も、ぶつけられている晃一郎も、後で青あざ発現必至だろう。
でも、背に腹は変えられない。
自分の分身だろうが綺麗で可愛らしい妙齢の女性だろうが、幽霊なんかと二人っきりなんて状況は、恐怖以外の何ものでもない。
「こらっ、起きろってば、御堂晃一郎っ!」
ばかぁっ!
なんで起きてくれないのよぉーーーーっ!
涙目になりながら、
尚も晃一郎の身体の下でモガモガと身体をバタつかせる優花に、自称幽霊さんは、苦笑交じりの小さなため息を落とすと、白いたおやかな手を伸ばし、そっと、優花の額の上に置いた。
ふわり、と、
立ち込める甘い花の香りと、やさしい手の感触が、優花の動きをぴたりと止める。



