【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


優花は、ごく普通の十五歳の少女だ。


少なくても、この世界に飛ばされるまでは、受験勉強に四苦八苦する、ごく普通の中学三年生だった。


超能力どころか霊感も皆無だ、


と、自分では固く信じている。


確かに、興味本位で、友人たちと肝試しもしたことがあるし、夏場の恐怖体験のテレビ番組も、けっこうワクワクしながら見ていたりする。


でもそれは、恐怖の対象があくまで想像の産物だと分かっているからだ。


心霊や超常現象を現実のものだと捉えていたら、肝試しなど、怖くてぜったいにできないだろう。


でも、今、目の前には、幽霊がいる。


それも、自分に限りなく近い存在。


イレギュラーである自分の、この世界の本体が。


ゴクリ――。


もう一度、喉を大きく鳴らし、


優花が取った行動は、至極まっとうなものだった。