【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


「そん……な」


ばかなこと、あるわけない。


だって、この人は――。


ゾクリ、と、


背筋を、えもいわれぬ戦慄が這い上がる。


優花の目がおかしくなっているのでなければ、今、目の前に佇んでいる彼女の名は、『如月優花』。


一年前に、晃一郎の目の前でテロの犠牲になり亡くなったという、この世界のもう一人の優花だ。


だとすれば、彼女は――、


「ゆっ……、幽霊?」


自分自身の発した言葉が、優花の恐怖心を煽り立てる。


「うーーん。当たらずとも、遠からず、ってところかなぁ。一応、死んでるものね、私」


にっこり、と。


自称幽霊さんは、邪気のない笑顔で、とんでもないことをサラリと言ってのけた。