【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


――じゃあ、


この存在感ありすぎる、人の居る気配は、なんなの?


ゴクリ、と、喉が、音を立てて大きく上下する。


カクカクカクと、


まるで、ゼンマイ仕掛けのからくり人形のように、


優花は信じられない思いで、声のした方、ソファーのすぐ横、


自分から見れば、斜め後方に頭をふり向けた。


「はじめまして? だね。優花ちゃん」


その女性は、にっこりと、けぶるような笑顔を浮かべて、少し小首をかしげた。


居るはずのない場所に忽然と現れた人物を眼前に、優花は、金縛りにあったように、何も反応できない。


「あらら。驚かせちゃったみたいね」


彼女は、クスクスと、楽しげに笑う。


小柄で華奢な体躯。


腰に届きそうなほど長い髪は、優花が始めて目にする色合い、銀色をしていた。


シルクのような質感を持ったその髪は、彼女が動くたびに、サラサラと音を立てる。


柔らかな頬の輪郭。


少女めいた、好奇心に満ち溢れた光が宿る、黒目がちで大きな瞳。


小ぶりの鼻梁。


淡く、薄紅色に色づいた、可憐な唇。


優花は、その女性を、


正確に言えば、その女性と瓜二つの『女の子』を、よく知っていた。