【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


――ううっ、重い。


というか、かなり、苦しい。


「っ……晃ちゃん、重いんだけどっ」


じたばたと、


何とかこの状況を抜け出そうと試みるが、両手は、しっかり繋がれたままだし、


斜め後ろに倒れこんで体重を掛けられているこの不安定な体制では、身動きがとれない。


自力で脱出が不可能なら、他力本願あるのみ。


そう、結論に達した優花は、晃一郎の耳元に向かって、大声を張り上げた。


「おーーーい。重いんですけどーーーっ?」


「あ、今、熟睡中だから、反応しないよ?」


優花の声に答えたのは、晃一郎ではなく、澄んだ女性の声だった。


「え……?」


すぐ後ろから飛んできた、その声に、優花の動きはぴたりと止まった。


嫌な汗が、背筋を伝い落ちる。


この部屋には、今、優花と晃一郎の二人しかいない。


いないはずだ。