【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


「身体の力を抜いて、リラックス」


んなこと言われても、


この状態で、リラックスできるほど、女歴は長くない。


「深呼吸。吸って、ゆっくり吐き出す」


目を閉じているからか、聞きなれているはずの晃一郎の声が、少し低く感じる。


「もう一度」


吸って、ゆっくり吐き出す。


言われるまま、繰り返す深呼吸が、身体に帯びていた熱をすうっと冷ましていく。


「もう一度」


まるで、呪文みたいに繰り返す、柔らかな声音が、ひどく心地良い。


あれほど暴れまくっていた心臓が、奪われた熱とともに、穏やかな鼓動を刻み始めた。


その頃合を見計らってか、晃一郎は、穏やかなトーンの声音のまま、ゆっくりと優花に語りかける。