【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


「裏っ!」


「ぶっぶー。表でしたー」


外された晃一郎の手の下からは、百円硬貨の表、


銀色の土台に掘り込まれた八重桜が顔を出す。


わが意を得たり。


にっこりと笑みを浮かべる晃一郎と対照的に、優花は、がっくりと肩を落とした。


――だーかーらー、


当たらないって言ってるのに!


「と、まあ、これは透視能力がない場合、当たるのも外れるのも、確率は二分の一だろ?」


「うん」


硬貨には表と裏しかないのだから、その確率も半分だ。


優花は、素直にうなづく。


「で、これを十回やって、全部当たれば、完璧に透視能力がある」


「うん」


「さあ、ではここで問題。能力を持たない人間が、これを十回やって、十回外すのは、確率的にアリでしょうか?」


「あ……」


――そっか。


百パーセント外れる、というのも、ある意味特殊なんだ。


だけど、それって。


「まあ、ずいぶんと厄介で、はた迷惑な力の現れ方だけどな」


苦笑交じりの晃一郎の言葉に、優花は、特大のため息を吐き出した。