【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


その姿は、まるで宗教画に描かれた慈愛に満ちた天使を彷彿とさせ、


ミドルネームの『マイケル』が、大天使ミカエルに由来することから、ファンの女性陣から、ひそかに『ミカエル様』と呼ばれている。


穏やかな雰囲気と、優しい声音、


そして、身に纏うそこはかとないブルジョワ感で、研究所の女性職員の絶大なる人気を誇っている。


が、子供のころからの腐れ縁だという晃一郎に言わせると、『邪気のない笑顔を振り撒く、シスコンの腹黒天使』だそうで、どうも見た目どおりの穏やかなだけの人物ではなさそう、ではあるが。


優花は、半月前ほどから、彼の元でESPの開発訓練を受けていた。


『イレギュラー体には本体と同等または、それ以上の超能力が認められる』


という、今までの事例から、優花にもその可能性があると予想されたからだ。


この世界の如月優花は、晃一郎と同じ、特A級の能力者だった。


テレポート(空間移動)能力。


もし、優花にその力が眠っているのなら、


それが、異世界間で可能なほど強力なものだとすれば、


その力が優花が元の世界に戻るための、大きな、そして目下『唯一の鍵』なのだ。