【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


冗談だとわかっている。


きっと、いつも取り巻いている女性たちにも言っている、挨拶がわりの、冗談。


そうに違いない。


でも、胸のドキドキがとまらない。


――うわーっ。顔が、熱いっ。


これ、ぜったい、赤くなってるよ、顔!


嬉しさと恥ずかしさで、いっぱいいっぱいになってしまった優花は、何か他の話題を振ろうと、せわしなく考えを巡らせた。


「彼女さんも、お料理上手だったの?」


そして、


何も考えずに、世間話の延長の気軽さで、


思わず口をついて出た自分自身の言葉に、優花は、全身に冷水を浴びせかけられたかのように、凍りついた。


恋人を目の前で亡くしたという人間に、


それも、まだ一年しか経っていない人間に、気軽に質問していいような言葉じゃない。


気をつけていたのに。


いったん口から零れだしてしまった言葉は、元には戻せない。