【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


丸いフォルムのボディーに、大きなつぶらな、お目目が二つ。


ボク、がんばってるぞー! 


えいえいおー! 


な、への字眉と口。


ぴょこん、と飛び出した細くて短い手に握られているのは、なんと針と糸。


なんだか、複数くっつくと『ぷよ~~ん』と消える、パズルゲームのキャラクターにやけに似ている。


『こういうちんまいやつらが、お前の体の中で壊れた細胞を治してるんだ、わかったか?』


いたってまじめな声と表情の晃一郎に問われた優花は、もう一度、素敵に可愛らしいそのイラストを見て、思わず『ぷっ!』と、噴き出してしまった。


――か、かわいいーーっ!


ってか、晃ちゃん、画伯すぎーーっ!


もちろん、「お前は、人の話を真面目に聞け!」と、晃一郎には睨まれてしまったが、


優花はあの時、この世界に来て初めて、声を出して笑うことができたのだ。