【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


優花は、限りなく、幸運だったのだ。


もしも、優花を救ったのが晃一郎ではなく他の人間だったなら、遺伝子登録情報から『如月優花』が一年前に死亡していることが知れ、すぐにイレギュラー体であると露見し、保護という名の元、国の専用施設に収監されてしまっていたはずだ。


そこで、肉体的にも、精神的にも、徹底的に調べつくされていただろう。


そして、いつの間にか、その存在は闇に葬られていく――


ことは、さすがにないだろうが、


自由や自尊とは程遠い、あまり楽しくない不自由な生活が待ち受けているのは確かだろう。


政府の、超能力者を集めた裏組織が存在し、その組織に強制収監されるのだという、まことしやか噂が流れているが、これは都市伝説に類される、かなりマユツバものの話だ。


もちろん、鼻から、晃一郎に通報する気はさらさらなく、


職員である晃一郎が、緊急避難の色合いが濃いとは言え、有無を言わせず瀕死の優花を、一般人立ち入り禁止区域の研究施設内に連れてきてしまった。


そればかりか、開発中の試験薬品をイレギュラーとは言え人間に投与する、人権支援団体に知れれば格好の餌食になるだろう、暴挙が行われた。