【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


この医療研究所は、大きく二つの施設エリアに分けられる。


一般の病院では治療できない特殊な病気の治療を行う、地上四階部分が、病院施設エリア。


そして、様々な研究がなされている、地下五階部分が、研究施設エリアだ。


バックが国であるため、どちらの施設も職員は全て公務員、またはそれに準ずる身分を有している。


先進医療開発、超能力開発など、国益に関わる研究開発が多岐にわたって行われているため、地下部分への出入りは厳しく制限されていて、


本来、部外者の、それもこの世界の人間ですらない『イレギュラー』と呼ばれる存在である優花が立ち入れる場所ではないのだが、しっかり居座ってしまっている。


ただ、目下優花の行動範囲は、この地下の研究施設の主に二階部分に限られていた。


理由は、単純明快で、この世界の如月優花は、既に死亡しているからだ。