【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


「ありがとう、晃ちゃん――。じゃなくって、御堂先生。今日は、サービス満点だね」


「ばか言え。俺は、いつでも『女には』サービス満点だ」


ニッと、晃一郎は、優花の表情を真似て、おどけたように口の端を上げる。


「あ、一応、女だとは思ってくれてるんだ?」


「女だろ? 違うのか?」


からかうような声音に、優花は、むーっと、頬を膨らませる。


「女ですよー、一応」


生物学的には。


彼氏いない歴十五年。


色気は、皆無な、中三女子ですが。


優花は、味気ない濃紺のスェットスーツに包まれた、発展途上な自分の身体を見下ろし、少しばかり自虐的な、乾いた笑いを浮かべる。