【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


「何、見てたの?」


「内緒ー」


「はぁ?」


「そんなに、俺の見ていたものが知りたい?」


茶化すように顔を覗きこまれた優花は、むうっと眉根を寄せる。


「別に、知りたくないよーだっ!」


フンだ!


いったい、何だって言うのよ?


ワケわかんない!


うっかり失念していたが、まだ、あの嘘のメモの件で自分は怒っていたのだと思い出し、優花の眉根の皺が、更に、深さを増した。


「それ、癖になっても知らないぞ」


追い越されざま、楽しげに喉の奥で笑う晃一郎の長い指先に、額をコツンと弾かれた優花は、ぎよっと身をそらした。


今日の、晃一郎は、変だ。


スキンシップ過多も甚だしい。


うっかり気を抜くと、又、頭を撫でられる気がした。


あれは、けっこう、心臓に悪い。


そう、ワケもなく泣いてしまうくらいに――。