【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


「でも、残念。グレかけた優等生と謎の美少年転校生の狭間で揺れる、優花の恋模様が見られるって思ったのになぁ」


「玲子ちゃん……」


誰が、グレかけた優等生で、誰が謎の転校生だ?


第一、リュウくんは留学生だし。


やっぱり、玲子は、その方向で考えていたのかと、優花は肩の力ががっくりと抜けてしまう。


「鼻は再生したか、優花? って、まだ沈没したままみたいだな」


「大丈夫ですか、ゆーか? まだ少し顔が赤いですね」


無礼千万な前者は晃一郎で、礼儀正しい後者はリュウのセリフだ。


どう贔屓目に見ても、リュウの方が紳士的で優しい。


普段の晃一郎ならば、どちらかというと、リュウのように心配げに声をかけてくれるのに。


――やっぱり、晃ちゃん、いつもと違う気がする。


俺様で、少し意地悪な物言い。


これじゃまるで……。