青の奇跡

「で、それがどないしたっちゅうんや?? まさか……」

夏原はすっとバットの先を奈月に向ける。

「勝負かなんかして、わいをそのバッティングセンターに引き込むっちゅうつもりやねんな??」

夏原の不敵な笑みに、奈月はボールをぎゅっと握りしめた。

「俺達野球小僧にはこれが一番得策だろ??」

奈月も負けじと挑戦的な笑みを浮かべた。

「な、奈月何言って……」

「奈緒は黙ってろ」

「だ、黙ってろって……それじゃ奈月が……!!」

「大丈夫だ。ちょっとやそっとじゃこの体もやられやしないさ」

奈月はそう言うと自分の右肩をぽんぽんと叩いた。

「ん……?? あんさん、もしかして肩をやってしもたんかいな??」

夏原の表情が少し曇った。

突き出していたバットを自分の手中におさめる。

「……ああ、昔な。だがもう完治した。お前を一ひねりするには十分過ぎるぐらいだ」