青の奇跡

「奈緒、あいつだ。夏原だ」

「え??」

「あら?? わいの事知っとるんかいな?? いやいや、わいも有名になったもんやなぁ」

夏原は嬉しそうに頭をかいた。

そう、彼が夏原 海斗。

全国の中学生ピッチャーを恐怖の渦に巻き込んだ張本人である。

よく見れば体格も高校生離れしているほど筋肉質だ。

「こ、この変態君が夏原君!?」

奈緒は目を白黒させながら何度も夏原を指差して奈月に尋ねた。

予想と違ったらしい。

「変態君て……あんた中々失礼やね。……まぁ確かにスカートの中見て嬉しがってる自分がいたのは確かやけどな」

「ほら、やっぱり変態じゃない!!人のパンツ見たの思い出しながら鼻の下伸ばしてる!!」

「スカートの中見て何が悪いんや!!パンツ見て何が悪いんやーー!!スカートの中は男にとってハーレムへの第一歩なんやーー!!」

ついに開き直った。

最低である。

「ふん、奈緒のスカートの中見て何を得られるっていうんだ」

「何をーー!?」

奈月が皮肉めいたことをぼそっと呟くと、それに奈緒は敏感に反応した。

怒るのも無理はないだろう。

もう無茶苦茶である。