青の奇跡

「な、奈月……それ……」

「そういうこと」

奈月は得意げな笑みを浮かべながらそれを鞄に戻した。

「奈緒の考えることぐらいすぐに……」

「いやぁ、奈月も成長したねー。私は嬉しいよ」

奈緒はわざとらしく流してもいない涙を拭う真似をした。

「お、おまえ!!いつまで人をガキ扱いすりゃ気が済むんだよ!!」

奈月は顔を赤くして言った。

奈月は子供扱いされるのが嫌いな上、同じ歳の奈緒からそういう扱いをうけることが屈辱的でならなかったのだ。

「まあまあ。……でも冷静に考えてみたら奈月がこれを作って来てくれたおかげで早く登校する理由が無くなっちゃったね」

奈緒は言った。

若干嬉しそうにも見える。

「俺もまさか本当にこれだとは思いもしなかったからな。学年一の天才が聞いて呆れるな」

奈月は小ばかにしたようにため息をついた。

「じゃあ天才と同じことを思い付いた奈月も天才ってことだね」

「一般人の知識の範囲だろ」

鼻で笑った。

小さい体のせいか、その生意気さが浮き彫りになっている。