青の奇跡

翌日、二人は少し早めにいつもの待ち合わせ場所でおちあった。

奈月と奈緒は毎日学校へ一緒に通っている。

それは小さな頃、幼稚園の頃からのことで、ある種しきたり化しているといっても過言ではない。

当然周りの思春期の高校生達からみれば、それが羨ましかったり、冷やかしの対象になったりするのであるが、間違ってはいけないことがある。

いくら毎朝共に通っているからといって決して付き合っているわけではない。

周りの学生達は「付き合っちゃいなよ」などと口を揃えてそう言うが、二人にはそんな気は毛頭ないのである。

お互いを兄弟のように認識しているからだろう。

「おはよう、奈月」

「おう」

二人はいつものようにたわいない挨拶をかわすと、通い慣れた道へ向かってペダルをこぎはじめた。

「で、なんで今日はこんなに早いんだ？？」

奈月は眠たそうな目を擦りながら、まだ少し寝起きの声混じりに言った。

「決まってるじゃない。今日から始まる『客寄せ作戦』の話をするためよ」