「……お湯も沸かしたの?」 どうしたんだろう。 私は辺りをきょろきょろ見回したけれど、コウの姿が見当たらなかった。 「……コウ?」 またベッドで寝てるのかな? 「あ、いた。コウ?ねぇ、コウ。」 コウはベッドでうずくまるようにして眠っていた。 「ん……杏?」 そう言いながら私の方に向けられた顔には、涙を流した跡があった。