「……では酒でも飲みながら、ゆっくり考えるとしよう。それより…… 」

おっさんは後ろを振り返り、さっき立っていた所へと歩いていく。もう一人の男も、ついて行きかけた。

「待ってよ! どういう……」

ガツン!
「……ったぁ……」

目から火花が散った。
何か透明なガラスのような物に、私と彼らは隔てられていたみたい。それに、おもいっきり、おでこをぶつけたのだ。

「くぅぅ……っ」
痛みをこらえて、私は歯を食いしばった。
なんなのよ、一体? なんで私がこんな目にあわなきゃならないの?

「見ろ、ラジール。聞きしにまさる美しさだ。いや全く、見事なものだ。城中のコレクターたちの垂涎の的となるのは間違いないぞ」

悦にいったようなおっさんの声。見ると、二人は今度は私に背を向けて、並んで立っていた。どうやら私の他にも、囚われ人がいるらしい。

「おい、こちらを向け、顔を見せろ」

コンコン、とガラス(?)を叩く音。

「………ふむ、まあいい。明日になれば、お前も私のコレクションの仲間入りだ。これを皆に見せてやる日が楽しみだな。くっくっくっ………」

どこか狂気じみた笑い声に、私はぞっとした。

「では今から処理室にまわして作業にかかりましょう」

「それは明日でよいだろう。行こう、今夜は祝いの宴会だ」

「いいえ、私は……」

「またそのようなことを。お前の働きをねぎらう宴だ、主役の席が空では話にならん。さあ、行くのだ。皆が待っている」

「……わかりました。では……」

彼らが扉の方へと動いたとたん、見えなかったもう一人の囚われ人の姿が、目に飛び込んできた。

……うわっ!……すご……い……!!