「ゴメン」

そうしてあたしは腕の力を抜いた。

「んもう…。こんなんじゃ、先が思いやられるわ」

「好きな子には余計にくっついていたいタイプなのかも」

「よく言うわ。ただスケベなだけじゃないの?」

「好きな子相手には、誰だってそうならない?」

「ぐっ…! ふっ普通は黙っているもんなの!」

「じゃあ黙って、くっついてる」

そう言って彼女に、ぎゅっとくっつく。

「そう言う…意味でもないんだけど。まあ、良いわ。もう」

あたしの腕の中でご飯を食べる彼女を見て、何か幸せな気分になれる。

最初はただ、彼女の反応が面白かっただけ。

でも今では…一人占めしたいと思うようになった。

彼女にしか触れたいと思わなくなるのも、時間の問題かもしれない。

けれど目線はついつい、他の女の子達に向かってしまう。

「あっ、あのコ。色白でちょっとぽっちゃりしているね。触ったら、気持ち良さ…」

 ドコッ!

と腹に肘鉄が入れられ、続きは言えなかった。

「このどスケベ! アンタはアタシだけを見て、触っていれば良いのよ!」

涙を浮かべながら振り返った彼女に、キスをされてしまった。

…うん。やっぱり彼女に夢中になるのは、そう遠くはないな。