「れっ恋愛対象はどっちなのよ?」

「どっちも。別にこだわっていないもの」

「…むっつりスケベ」

「別に隠してないよ」

そう言いつつ、イチゴミルクをズズーっとすする。

「あたしは甘えたい人には甘える主義だから。そこに男女の壁がないだけ」

「そういうの、見ていると節操ないって感じだけど?」

「かもね~」

気に入る人は一人とは限らない。

あたしは本当に甘える時に、甘える。

体にぺったりくっついたり、手を握ったり、背中に抱き着いたり。

過剰なスキンシップが好き。

流石に中学生になると、男の子にするのは躊躇うようになった。

けれど女の子同士なら、別に何も言われないし思われない。

…少なくとも、隣の彼女以外には。

「…でもアンタ、アタシにはその…スキンシップ、してこないわよね」

箸を持ちながらも、彼女は何も食べようとしない。

じっとお弁当に視線を向けているだけ。

「別に深い意味はないよ? ただ、あなたがそういうの、嫌いみたいだからしないだけ」