「それで南くんと!?」


「まぁ、あの手の男が一番手っ取り早いかと思って。案の定、九条くん焦って亜美ちゃんに近づいてきたでしょ?さっさとしろ!って心の中で思ってたんだ」


「和香ちゃんそんなこと考えてたんだ……」


「だけどね……。そう思ってたのに、亜美ちゃんが九条くんと本当に付き合うようになったら、なんか虚しくなって。

あたし、何がしたかったのかわかんなくって、結局亜美ちゃんに八つ当たり。

最後の方は、自分で自分をコントロールできなくなっちゃて」


「そんなの、そうだよ。あたしだったら、好きだった人とくっつけてあげようだなんて、そこまでできない……」


「頭下げられた日、九条くんに言われたの。『前の方がかわいいかった』って。

な~んかそれ聞いただけで嬉しくなっちゃって。

そのとき、こうやって普通に話せるなら、それでいいやって気付いた」


和香ちゃんは舌を軽く出して、恥ずかしそうにヘヘッと笑う。