他愛もない話をしながらしばらく歩いてると、九条くんが何かを思い出したようにふと立ち止まった。


「お前んち、どこだっけ。送ってく」


「えぇっ!?いいよ」


「ダメだって。もう暗くなってきたし」


「そんな、いいってば」


九条くんをうちまで送らせるなんて、そんなことできないよ。


必死に断るけど、なかなか承知してくれない。


……そうだ、あたし眼鏡をなおしてもらいに行かなくちゃ。


「眼鏡のフレームが曲がっちゃってて。だから今から修理に行くの」


「眼鏡?……ああ、やっと返してもらえた?でも壊れたって?」