「亜美、待たせてごめんな?」


「ううん待ってないよ」


「うそつけ」


九条くんはあたしの後ろ頭を軽くコツンとやる。


「本当だってば。あたし行動トロいし、さっきここに着いたんだよ?」


「そか。それ、マジでトロいな」


「えぇっ、そんな風に言わないでよ!」


「悪い、俺って正直だから」


「えー!?」


九条くんは目尻をギュッと下げて笑い、あたしの肩に腕を引っかけてきた。


ドキッとしたけど、九条くんがあたしを彼女扱いしてくれてるんだって思うと、


抵抗することも避けることもなく、そのまま九条くんの隣で大人しくしていた。