九条くんはあたしから離れると、駆け足で校舎の方へと戻っていった。


一緒に帰れるなんて、夢みたい。


中学のときだって、一緒に帰ったことなんてなかったし。


何の話をしようかな……。


構えるとどうしたらいいかわかんなくなるから、とりあえず成り行きでいっかぁ。







それにしても、九条くんに抱きついちゃった。


フフッ。


あ~、ダメ。顏がニヤける……。


緩んだ頬をキュッと引き締め、なんとか平静を保てるよう頑張ってみる。


しばらく門のところで待っていると、小走りでこっちに走ってくる九条くんの姿が見えた。