『命は
粗末にするな』

『千
お前は生きろ』

たったふたつの
願いを託し
景丸の命は
闇に飲み込まれていった

愛しい人を
この世に残して

悲しむ千を
救った者…――

それは
その身に宿した
小さな命

殿に愛された
証でもある
小さな命が
千のすべてとなった


『この子を
守りたい』


たったひとつ
その想いを胸に
千は生きた

侍女と共に
城から逃げ延びた

景丸は
『流行病で
命を落とした』
とされた
千の代わりに
殿の手によって
埋葬された

いつか千を
同じ場所で
一緒にしてやろうと

目印に
桜の木を植えて