あたしと隆は
過去に結ばれなかった
ふたりの記憶を
宿して生まれた

何もかも
忘れていたあたしが
そのことを
思い出した
高校一年の桜祭り

お城の公園で
景丸が埋葬された
桜の木を見つけた

カレの木を
あたし達は
毎年訪れていた

そして
いつも思っていた

千の眠る
桜の木は
どこにあるのか…


アナタに会いたいと
ずっと願っていた

その夢が
今ここに
叶ったのだ…

「来年も
再来年もずっと…
アナタに
会いに来るわ」

「もう…
寂しくないからね…」

風に吹かれて
舞い落ちる花びらは

あの日
千の流した
血の涙に
似ている…